2016年9月14日
もういない あのこ どこへ帰ったの
耳と、頭の中のほんのちょっとが覚えてる
オレンジ 紫 紺色
赤 茶色 ピンク色
テレビと夕日の光が混じる あの部屋
終わらないゲーム 赤と緑のトレーナー
繰り返す定位置からのスタート
何度も 何度も 耳が覚えた音
囲炉裏を埋め立てたこたつの匂い
化粧鏡 つげの櫛
紺色の着物 黒目が二つ
100年を経て
そこに わたしがいた
それが日常であり
現在に続く「わたし」の 始まりであり
これからどんなに時間が経とうと
あの感覚だけは 消えない
もう一度 同じところには帰れない
もうあの家は ない
もう一度だけ 帰れないかなぁ
もう 時間が経っちゃったね
一番 覚えてるはずなんだけどな
一番覚えているのは わたしであるはずなんだ
誰にも教えてもらうことは出来ない
思い出すたびに 遠くなる
あのこもどんどん 溶けていく